聞き書 東京の食事 武蔵野台地の食より
■夜―かやく飯、けんちん汁、こうこ
夜は油を加えたかやく飯をつくることも多い。たっぷりの新里芋を油で炊めたけんちん汁も添え、疲れたからだに力を吹きこむ。あとは、こうこがあればいい。
麦飯のときは味噌汁を新しくつくり、おかずはいもやかぼちゃの煮もの、コロッケ、てんぷら、大根の油炒め煮、ほうれんそう、こまつな、山東菜のおひたしやごまよごしなどをよくつくる。
大根河岸にさつまいもを出荷し、高値が出たときには、ごくたまにだが、生のさんまを樽で買って帰ることがある。たくさんありすぎて親せきや近所中に配ったりして、いく日かはさんまを焼く煙とにおいがあちこちに流れる。大根おろしはたっぷりつけて食べる。
出典:渡辺善次郎 他編. 日本の食生活全集 13巻『聞き書 東京の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.201-202