聞き書 宮崎の食事 日南の食より
夏の麦飯は終わり、またいも飯に変わる。いものとり入れが終わった秋は、とくにいもの割合が多い。
■夜―いも飯、ぼったり汁、のたいも、はねもんの刺身
ぼったり汁は、魚のすり身を湯に落とし、ねぎを薬味にちらして醤油で味をつける。えそなどの白身の魚のほうがおいしいが、あじもよい。
のたいもは、小さなくず里芋を上手に使った料理である。ゆでた里芋に白あえの衣に似たものをまぶしてつくるので手がかかり、雨の日などの漁のない日でないとつくれない。
はねもんのまびき、はがつお、よこわなどがあるときは、刺身にする。刺身のつまは、いもがら(といも(里芋の一種)の茎)を薄く切ったもの。
秋にはほかに、はねもんの赤むんの味噌おつけ、はねもんの魚と里芋、大根の煮つけ、とんきゅういかと大根の煮つけなどをよくする。大根の煮つけには必ず魚を加えて炊き、大根だけを煮つけることはない。まびき、いわし、はがつおは塩煮にする。
出典:田中熊雄 他編. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.290-291