桶に漬けこむふなずしに近江の米の滋味香る

連載日本の食生活全集

2022年11月29日

聞き書  滋賀の食事 湖南米どころの食より


味のよい安治米を産する湖南平野は、琵琶湖に面した湿田地帯。田には堀がめぐらされ、田仕事の足も、米俵の積み出しにも田舟が欠かせない。舟の上から、ときには魚をとって七輪で焼き、野小屋で食べる弁当のおかずにする。川魚は米とよく合い、にごろぶな、げんごろうぶなは飯と一緒に漬けこんでもてなし用のふなずしに、あめのう(びわます)は飯に炊きこんで刈入れどきの疲れをいやす。上米は出荷してしまうが、中米のごはん、くず米でつくるだんごは種類が多く、米こうじで仕込む味噌やどぶろく、あんちゃら漬にも、米どころならではの豊かさがある。おもに野洲郡中主町安治で聞き書きする。

写真:安治米で漬けこんだふなずし

 

出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.68-69

関連書籍詳細

日本の食生活全集25『聞き書 滋賀の食事』

橋本鉄男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910012
発行日:1991/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

日本最大の湖・琵琶湖には鯉・鮒・もろこなど淡水魚があふれる。ふなずしをはじめ、滋賀県特有の湖魚の食べ方をもらさず紹介。また、近江商人発祥の地に残る本宅(店に対する自宅)の食生活など話題がいっぱい。
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