聞き書 熊本の食事 県南の食より
このしろは背開きにして中骨、腹骨をとり、塩漬にして一晩おき、これをしばらく酢につけてしめしておく。少し塩味のきいたすし飯にしょうがやゆずの皮のみじん切りを混ぜると香りがよい。このしろの腹の部分にすし飯を詰め、頭と尾をたてて器に盛る。お正月や祝いごとにはなくてはならない料理である。
翌日、固くなったおすしは、ちょっと火にあぶると、魚のくさみがとれて香ばしくなり、違った味を楽しめる。
出典:小林研三 他編. 日本の食生活全集 43巻『聞き書 熊本の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.253-254