聞き書 山梨の食事 笛吹川上流の食より
具をたっぷり入れてつくるほうとうより、メリケン粉がたくさんいるので、来客のあるときか特別の日につくることが多いが、寒い冬の夜は、日常でもようめしとしてときどきつくる。ゆでたての熱いうどんを食べるのはなによりのごちそうである。
ごん鉢の中に塩を少しすりこんでから、メリケン粉を京枡二升入れ、ぬるま湯をやかんから少しずつ入れて、ちょっと固めに丸めてからよくでっちる。次にのし板の上で、のし棒で平らにのばしてゆく。適当にのばしたら、二寸五分くらいの幅に折りたたんで端から切り、めんをつくる。
沸騰した湯の中にめんを入れ、まなばしを釜底に入れてそっと持ち上げ、浮き上がったらできあがりなので、釜のままおろす。あつあつのうどんに大根のせん切り、山東菜などのゆでたものを混ぜて大皿に盛り、煮干しでだしをとったおつゆにつけて食べる。
おつゆは醤油汁にし、たまねぎやねぎ、油揚げなどの具を入れて煮て熱くしておく。お辛味(薬味)も、ねぎやゆずのみじん切り、あぶった青のりをほぐしたもの、かつ節をけずったものなどを小皿に盛っておき、各自好みのものをとり分ける。
出典:福島義明 他編. 日本の食生活全集 19巻『聞き書 山梨の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.101-102