焚き火を囲みながらの山仕事のお昼――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年01月24日

聞き書  茨城の食事 鹿島灘沿岸の食より

夜――おばあさんの温かい味が待つ
足もとがかすかに見えるころ、山仕事をやめて家路につく。家につくと、男は切りわらをして、牛にかいば(餌)をやる。
夕食はおばあさんがつくってくれている。ごはんを炊き、味噌汁をつくり、こうこを出し、変わったおかずを一品必ずつくって待っていてくれる。それが楽しみである。
その一品は、里芋のような野菜の煮つけが多いが、ときには、おつけのかわりにのっぺい汁だったりして、みんなを喜ばせる。
夕食後に家族全部の食器を洗い、一人分ずつ膳に伏せて、膳棚にのせる。

写真:冬の夕食
上:煮魚(さんま)、きんぴらごぼう/中:いわしの塩からこうこ、大根なます(油揚げのせ)/下:麦飯、しじみ汁

 

出典:桜井武雄 他編. 日本の食生活全集 8巻『聞き書 茨城の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.221-222

関連書籍詳細

日本の食生活全集8『聞き書 茨城の食事』

桜井武雄 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540850387
発行日:1985/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 348頁

「新豆できたから納豆寝せべ」穀類豊富な県央畑作地帯、水郷ならではの淡水魚を利用した南部水田地帯。水陸の幸を素材に食事づくりを手がけてきた主婦からの聞書きによってまとめた「常世の国」茨城の食事。
田舎の本屋で購入

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