聞き書 広島の食事 東部高原の食より
麦飯は朝一度に炊き、朝飯、昼飯、番茶、夕飯と四回食べる。
朝は味噌汁をつくる。味噌汁の実には、大根や里芋、きんかいも(じゃがいも)を入れ、だしはいりこでとる。味噌は麦味噌で、三年ねかせてある。油揚げはめったに買わないので、たまに入れるとごちそうである。
子どもの弁当は「はし飯」をして詰める。釜の一か所に米をまとめて麦と混ざらないように炊き、米の多いところを詰めてやる。
昼は干し大根に切りこんぶなどを煮しめて食べる。番茶は三時ごろ、漬物で茶漬を食べる。夜はおじやか、寒ざらし粉や小麦粉のだんご汁、うどん汁などを食べる。だんご汁も、きのこを入れた汁、山鳥の入った肉汁、油炒め汁、酒粕汁といろいろにする。
主人は仲間を誘って野うさぎや山鳥をとりに出かけるので、ときにはごちそうが食べられる。また、なんずごと(祭りなど人ごと)があると、飼っている鶏をつぶして食べる。つぶすのは近所に上手な人がいるので頼む。
写真:冬の炭焼き弁当
左:くつわ形のおひつに詰めた麦飯/中:おかず入れに詰めた漬物のいろいろ(こうこ、たけのこの梅酢漬、しろうりの味噌漬、らんきょ漬、炒り味噌、きんぴらごぼう)/右:めんこに詰めた麦飯
出典:神田三亀男 他編. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.154-155