実だくさんののっぺ汁となべもので温まる――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年02月15日

聞き書 大阪の食事 天満雑貨商の食より

夕ごはん――ぬくごはん、くじらのはりはり、塩こぶ、白菜ぬか漬
夕ごはんは、炊きたてのぬくごはん(温かいごはん)に魚のおかずをつけ、一日で一番ごちそうをする。寒い日は、からだがぬくもるなべものが家族に喜ばれる。
くじらのはりはり(くじらと水菜のなべもの)は一〇日に一度くらいつくる。関東炊き、かきの土手なべ、牛肉のすっきゃき(すき焼き)、牛肉と大根、ごんぼ(ごぼう)、こんにゃくなどを炊いた筑前炊き、粕汁などが寒い日のおかずである。かやくごはんもときどき炊く。
旦那さんには、晩酌のさかなにまぐろやいかのおつくり(刺身)をつける。旦那さんは、一升びんに一〇等分の筋目をつけ、毎晩一合ずつ楽しんでいる。
使用人は裏の別棟に住んでおり、食事もそこでめいめいの箱膳で食べる。お番菜の日が多いが、こん巻きやコロッケを買って添えることもある。

写真:冬の夕ごはん
塩こぶと白菜ぬか漬、ぬくごはん、くじらのはりはり

 

出典:上島幸子 他編. 日本の食生活全集 27巻『聞き書 大阪の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.74-77

関連書籍詳細

日本の食生活全集27『聞き書 大阪の食事』

上島幸子 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540900099
発行日:1991/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 392頁

商人の町・大阪は、日本中の一流の物産が集まる「天下の台所」。船場、天満の商家、月給取り、近在の農家・漁家の食卓に、「食い倒れ」の真相を探る。写真を添えて料理を再現した食の歳時記。
田舎の本屋で購入

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