聞き書 鹿児島の食事 種子島の食より
■春の大祭
三月十五日は、豊作と家族の健康を大山神社に祈願する春の大祭である。集落の人全員が料理と焼酎を持参し、五、六戸ずつで火を焚き、焼酎をさげびん(横に長い口のついたびん)に入れて、燗をして飲む。このころには桜も満開で、花をながめ、子どもから大人まで相撲をとって奉納し、春の一日を楽しむ。
この日のごちそうは、たけのこ、つわ、大根、あざみ、にんじん、里芋、揚げなどの煮しめ、米の粉の揚げもん、そーじ(ぶり)の刺身、大根なますなどを重箱に詰めたものである。刺身が焼酎のしょおけになる。
写真:春の大祭のごちそう
重箱:〔左〕煮しめ、〔右〕米の粉の揚げもん、大根なます/皿:そーじの刺身/酒は焼酎
出典:岡正 他編. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.245-247