かぶとがにのおみやげが楽しみな熊野神社まいり――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2023年03月13日

聞き書 鹿児島の食事 種子島の食より

春の大祭
三月十五日は、豊作と家族の健康を大山神社に祈願する春の大祭である。集落の人全員が料理と焼酎を持参し、五、六戸ずつで火を焚き、焼酎をさげびん(横に長い口のついたびん)に入れて、燗をして飲む。このころには桜も満開で、花をながめ、子どもから大人まで相撲をとって奉納し、春の一日を楽しむ。
この日のごちそうは、たけのこ、つわ、大根、あざみ、にんじん、里芋、揚げなどの煮しめ、米の粉の揚げもん、そーじ(ぶり)の刺身、大根なますなどを重箱に詰めたものである。刺身が焼酎のしょおけになる。

写真:春の大祭のごちそう
重箱:〔左〕煮しめ、〔右〕米の粉の揚げもん、大根なます/皿:そーじの刺身/酒は焼酎

 

出典:岡正 他編. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.245-247

関連書籍詳細

日本の食生活全集46『聞き書 鹿児島の食事』

岡正 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890055
発行日:1989/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

鹿児島は南方食文化の北端。いも・鶏・糸瓜・豚の調理に南方の食習慣が息づく。海上の味=ヤポネシア構想の主舞台の陽光あふれる南国の味。
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