聞き書 島根の食事 江の川流域の食より
■山行き弁当――麦飯、こうこ、梅干し
山仕事は一年中ある。炭焼き、木挽き(伐り倒し)、木材の積み出し、田の肥料にする笹刈り、木こり(薪づくり)など、季節によって仕事は違うが、冬から秋まで山へはひんぱんに出入りする。
山へ行くときは、めんつ(曲げもの)、柳ごおりなどの弁当箱に麦飯と漬物くらいを入れていく。行商人が持ってくる干しめのは(干しわかめ)を少し持っていくこともある。焚き火でいびって(あぶって)飯にかけて食べる。山でのお茶は、くまざさの葉を焚き火で少しいびってやかんに入れ、わかして飲む。
写真:山でのひと仕事を終え、弁当を広げる
出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.155-156