聞き書 静岡の食事 中遠水田地帯の食より
■おひる――さつまいも飯、菜の花のごまあえ、焼いた塩ます、しょうがの梅酢漬、お茶
おひるはゆうべ炊いたさつまいものかて飯などを食べる。さつまいもは、倉の土間に穴を掘って蓄えてあるので、そのつどとり出してくる。穴の中には、種いもを残してちょうど食べ終わるくらいのさつまいもを保存しておく。
大根のかて飯は冷えるとまずいが、さつまいものかて飯は冷えても味は変わらない。
おかずは菜の花のごまあえ、それにかますで買った塩ますを焼いて添える。去年の秋に漬けた、しょうがの梅酢漬もある。
春の野菜では、わけぎのぬた、葉ねぎの味噌汁、時無大根の汁もの、おろしなどができる。
写真:春のおひる
上:焼いた塩ます、菜の花のごまあえ/中:お茶/下:さつまいも飯、しょうがの梅酢漬
出典:大石貞男 他編. 日本の食生活全集 22巻『聞き書 静岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.199-202