田仕事にそなえ、もちを食べて力をつける――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年05月23日

聞き書 愛知の食事 愛知山間(奥三河)の食より

こじはん――もち、大根切干しの酢もみ、たくわん
日も長くなり一日中外の仕事をするので、なんとか腹もちをよくしたいと、この季節は雨が降るともちを搗いて、昼飯やこじはんに食べるようにする。
新草が萌えるので、ぼたでとったもぐさ(よもぎ)を使い、塩味をきかせて草もちを搗く。草もちは白もちより固くなりにくく、時(季節)のものでうまい。そのまま焼いて食べる。秋にとりこんだこきびやあわを使って、きびもちやあわもちを搗くこともある。
もちはうまいが、食べすぎるともたれるので、さっぱりするように、大根切干しをもどしておいてよくしぼり、酢に砂糖をちょっと入れてもんで食べるとなかなかうまく、もちの合い草になる。漬物はたくわんを食べる。

写真:春のこじはん
焼きもち(左からきびもち、草もち、あわもち)、大根切干しの酢もみ

 

出典:星永俊 他編. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.285-287

関連書籍詳細

日本の食生活全集23『聞き書 愛知の食事』

星永俊 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890031
発行日:1989/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

海、山、川、田畑の幸豊かな愛知、味噌のルーツ豆味噌を生かす味噌料理の数々。尾張藩時代からの伝統ある食べものと、江戸、上方の味覚がおりなす多彩な食。
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