聞き書 愛知の食事 愛知山間(奥三河)の食より
■こじはん――もち、大根切干しの酢もみ、たくわん
日も長くなり一日中外の仕事をするので、なんとか腹もちをよくしたいと、この季節は雨が降るともちを搗いて、昼飯やこじはんに食べるようにする。
新草が萌えるので、ぼたでとったもぐさ(よもぎ)を使い、塩味をきかせて草もちを搗く。草もちは白もちより固くなりにくく、時(季節)のものでうまい。そのまま焼いて食べる。秋にとりこんだこきびやあわを使って、きびもちやあわもちを搗くこともある。
もちはうまいが、食べすぎるともたれるので、さっぱりするように、大根切干しをもどしておいてよくしぼり、酢に砂糖をちょっと入れてもんで食べるとなかなかうまく、もちの合い草になる。漬物はたくわんを食べる。
写真:春のこじはん
焼きもち(左からきびもち、草もち、あわもち)、大根切干しの酢もみ
出典:星永俊 他編. 日本の食生活全集 23巻『聞き書 愛知の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.285-287