とろけるようなしゅんのかき――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年06月30日

聞き書 鳥取の食事 因幡海岸の食より

漁の弁当――麦飯、塩ます、ちくわやふきの煮つけ、いんげんのおひたし、こぶ巻き、煮豆
あご網や地引網の舟は小さく、手繰り船のように食事をつくる設備がない。漁に出るときは弁当を持っていく。女は朝早く弁当づくりをする。「ひるまぎ」といって、五合入る木の綰物に麦飯を詰め、おさいは塩ますの焼いたもの、ちくわ、ふきの煮つけ、豊漁になりますようにとめでたいこぶ巻き、まめなようにと金時豆の煮豆など縁起をかついだ料理と、いんげんのおひたしなどの季節の野菜を使ったものを二、三回分詰めて船に積む。海上の船の中は涼しく、いたむことはあまりない。
魚がとれなければ、船上で食事をしながらがんばるが、魚がとれると午前中にでも帰ってくる。

写真:あご網や地引網のときの弁当
五合飯(麦飯を詰める)、塩ますを焼いたもの、ちくわ、ふきの煮つけ、こぶ巻き、煮豆、いんげんのごまよごし

 

出典:福士俊一 他編. 日本の食生活全集 31巻『聞き書 鳥取の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.26-27

関連書籍詳細

日本の食生活全集31『聞き書 鳥取の食事』

福士俊一 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910036
発行日:1991/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 382頁

日本海側有数の漁港=賀路・境港のある鳥取県は、魚、えび、かに、貝と海の幸が多彩。磯場の夏泊海岸の海女漁は豊臣時代からの歴史をほこる。因幡の山間、伯耆富士=大山の山麓には山の幸たっぷりの食生活が。
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