水口祭りには、朴葉飯を供えて豊作祈願――晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2023年07月19日

聞き書 滋賀の食事 鯖街道朽木谷の食より

お滝祭り
七月二十八日は山の不動明王を祀る日で、お不動さんの近くに滝があり、お滝祭りともいう。大滝に刳り抜き杉で雄滝(男性用)、雌滝(女性用)をつくり、この滝に頭や肩を打たれると病が治ると、前日から遠方の人が籠り堂にこもるので、にぎやかである。
近くの人たちは、昼二時ごろにかすりの着物や浴衣に着替え、お神酒、こわ飯、きゅうりの酢のもの、なすの煮ものを詰めたさかえ重(入れ子になる重ね重)を持って、一八丁の険しい山路を登り、おまいりする。子どもたちは、一文菓子の店であめを買ってもらうのがうれしくてたまらない。里には強い日ざしが照りつけるが、たんたんと流れる滝に打たれながら、山で半日を憩う。

写真:お滝祭りのごちそう
上:浅漬(なす、きゅうり)/中:きゅうりの酢のもの(麸入り)/下:こわ飯、ちょこ(酒)、煮しめ(なす、二度豆、二度いも、油揚げ)

 

出典:橋本鉄男 他編. 日本の食生活全集 25巻『聞き書 滋賀の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.274-275

関連書籍詳細

日本の食生活全集25『聞き書 滋賀の食事』

橋本鉄男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540910012
発行日:1991/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

日本最大の湖・琵琶湖には鯉・鮒・もろこなど淡水魚があふれる。ふなずしをはじめ、滋賀県特有の湖魚の食べ方をもらさず紹介。また、近江商人発祥の地に残る本宅(店に対する自宅)の食生活など話題がいっぱい。
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