聞き書 宮城の食事 北上丘陵の食より
■夕――栗飯、きのこ汁、さばの味噌煮、ほうれんそうのおひたし、かぶ漬
どこの家でも、屋敷まわりには栗の木がある。実が熟して落ちるころになると、子どもたちは栗ひろいが楽しみとなる。近くの雑木林には野生の栗もあるので、かなりの量がまとまる。ゆで栗としてそのまま食べたり、糸でつないで干し栗にしたりするが、栗飯にして食べる量も多い。
栗飯をつくるとき、手間がかかるのが皮むきである。斎藤家では、固い外皮をとったものをからけ(すり鉢)に入れ、手でおしつけながらかきまわして渋皮をとっている。少し皮は残るが仕あがりは早い。
農繁期には、ふだんよりもよくごちそうをするため、魚を買って料理することもある。といっても、そんなにいろいろな魚を食べるわけではなく、この時期は、いか、いわし、さばていどである。さばはたいてい味噌煮にする。
きのこ汁は、とりたての大豆でつくった豆腐や野菜もふんだんに入れて、汁よりも実が多くなるようにつくる。
写真:秋の夕食
膳内:ほうれんそうのおひたし、さばの味噌煮、栗飯、きのこ汁/膳外:かぶ漬
出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.182-185