よく働いた日は魚のごちそう──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2023年09月20日

聞き書 宮城食事 北上丘陵の食より

夕――栗飯、きのこ汁、さばの味噌煮、ほうれんそうのおひたし、かぶ漬
どこの家でも、屋敷まわりには栗の木がある。実が熟して落ちるころになると、子どもたちは栗ひろいが楽しみとなる。近くの雑木林には野生の栗もあるので、かなりの量がまとまる。ゆで栗としてそのまま食べたり、糸でつないで干し栗にしたりするが、栗飯にして食べる量も多い。
栗飯をつくるとき、手間がかかるのが皮むきである。斎藤家では、固い外皮をとったものをからけ(すり鉢)に入れ、手でおしつけながらかきまわして渋皮をとっている。少し皮は残るが仕あがりは早い。
農繁期には、ふだんよりもよくごちそうをするため、魚を買って料理することもある。といっても、そんなにいろいろな魚を食べるわけではなく、この時期は、いか、いわし、さばていどである。さばはたいてい味噌煮にする。
きのこ汁は、とりたての大豆でつくった豆腐や野菜もふんだんに入れて、汁よりも実が多くなるようにつくる。

写真:秋の夕食
膳内:ほうれんそうのおひたし、さばの味噌煮、栗飯、きのこ汁/膳外:かぶ漬

 

出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.182-185

関連書籍詳細

日本の食生活全集4『聞き書 宮城の食事』

竹内利美 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540890062
発行日:1990/2
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

米どころ宮城は旧伊達藩以来の米どころで、もちの多彩な食べ方を誇る。三陸海岸では四季いろいろな魚貝がとれ、浜の人たちだけでなく、内陸の人々の食膳もにぎわす。
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