聞き書 福島の食事 石城海岸の食より
男たちは、たいていさんま船に乗りこんでいるが、休漁日に自分の伝馬船で延縄漁に出る。どんこ、黒がら、のどくろをとり、合い間に農作業を手伝う。主婦は、伝馬船の出し入れや、延縄の餌づけを手伝いながら、稲刈り、脱穀のほか畑仕事に忙しい季節である。
■夕
秋はさんま。豊間の浜でも、秋はさんまが一番。焼くのはもちろん、煮てもおいしい。とりわけさんまなべは、とりたてのさんまに、ねぎ、手ちぎりにしたこんにゃくを加えた味噌仕立てで、豊間の秋の味覚である。
写真:秋の夕食
上:さんまの煮つけ、大根の浅漬/下:麦飯、さんまなべ
出典:柏村サタ子 他編. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.289-289