聞き書 宮城の食事 阿武隈丘陵の食より
稲刈りは十月いっぱいかかる。畑の仕事は、麦播き、ゆりなや大根の収穫作業もある。
寒くなる前に、野菜類の貯蔵もする。収穫した大根、にんじん、ごぼう、ねぎは畑に、はたいもは、日のあたる土手の穴に囲う。そのほか、女はたくあん漬け、ゆりな漬けなどの漬物つくり、男は米搗きなどいろいろな作業があり、目の回るほど忙しい。
このころは、裏山の栗、家の前のくるみや柿などがたわわに実る。栗は農作業の合い間にひろい、栗飯やゆで栗にする。くるみは、くるみもちや盆のうどんのたれに使うので保存し、渋柿はさわしたり干したりして保存する。
写真:富山柿で干し柿をつくる
出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.274-274