豆腐入りの白もち雑煮で新年を祝う──晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2024年01月05日

聞き書 広島食事 芸北山間の食より

正月
元日は豊作の願いをこめて早朝、氏神社にまいる。午前零時を期して参拝する人が多い。寺院に近い家は寺の本堂にも参拝する。
自家の神棚、仏壇に礼拝して、正月を祝う雑煮を食べる。元日の朝、または正月の来客があったとき、食前にお茶と干し柿(つるし柿)を出す。柿を出すのは、幸運を「かきとる」の語呂の縁起と伝えられる。
雑煮ははまぐりを入れてだしをとり、薄切りの豆腐一枚、こんにゃく、ねぎていどの具ともちを入れ、たれのような濃いめの汁を少しかける。
そのほか、黒豆とこんにゃくの煮ものや、大根、にんじん、ごぼう、里芋、こうたけ(きのこの一種)を別々に煮たもの、大根とにんじんとこんぶの酢のものなども膳に添える。

写真:正月の雑煮
上:お茶/下:雑煮(もち、こんにゃく、豆腐、ねぎ)、黒豆の煮もの(こうたけ、こんにゃく入り)、お膳は日光膳という。

 

出典:神田三亀男 他編. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.247-251

関連書籍詳細

日本の食生活全集34『聞き書 広島の食事』

神田三亀男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN:9784540870668
発行日:1987/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 382頁

"耕して天に至る"瀬戸内の島の味の基本はひしお味噌、広島湾のかきには「いろは48種」の料理。備北山地では日本海のわにが、芸北山間では石州からの魚が食卓を飾る。
田舎の本屋で購入

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