目刺しや猟の獲物はごちそう――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年02月21日

聞き書 鹿児島食事 霧島山麓の食より

昼――朝の残りに里芋のでんがく、漬物
主婦も薪とりや麦の手入れに出かけるので、昼の準備に時間はかけられない。味噌汁を温め、漬物をとり出すぐらいである。とりためた小さな里芋をいもふみで洗って干しておけば、家にいる年寄りにゆでてもらえるので、急いで味噌をすり、でんがくにする。
炭焼きや猟に行くときは、釜の底のごはんをがえ(木の弁当箱)に詰め、日の丸弁当にする。竹の皮に漬物と目刺しを包んでたまに持たせるが、これは上等のおかずである。
男衆が一服している間、主婦はかごいっぱいの洗濯ものを抱えて川に行く。石にたたきつけて汚れを落としてから石けんをつける。天気のよい日は洗濯女も多く、石があくまで土手に腰をおろし、世間話に花が咲く。

写真:炭焼きや猟に行くときの弁当
あわ飯、目刺し、味噌漬(たかな、大根、にんじん)

 

出典: 岡正 他編. 日本の食生活全集 46巻『聞き書 鹿児島の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.143-145

関連書籍詳細

日本の食生活全集46『聞き書 栃木の食事』

岡正 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540890055
発行日: 1989/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

鹿児島は南方食文化の北端。いも・鶏・糸瓜・豚の調理に南方の食習慣が息づく。海上の味=ヤポネシア構想の主舞台の陽光あふれる南国の味。
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