山菜と春野菜を煮つけやあえものに──日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年05月14日

聞き書 広島食事 備北山地の食より

小野家の主婦久子さんは畑仕事を受け持っているが、その合い間に野草や山菜とりに出かける。野ぜりを摘んでくると味噌汁の中に入れる。ままこ菜(葉にぶつぶつのある野草)はゆでて豆腐であえるか、おひたしにする。山菜では、あかざ、たきみずな、木の芽ではくさぎな、山さんしょうの芽、たらの芽、そしてつくし、わらび、ぜんまいなどを食膳にのせる。
春は子どもたちは、おやつにかやすいばの白い芯をかむ。いたどり、木の芽のかんすいばを食べ、すいこ花(すいかずら)の花びらを抜き、蜜を吸う。
箸間――むすび、しいたけの煮つけ
昼食と夕食の間に箸間とお茶がある。これを含めると、田植えの季節は一日五度食ということになる。箸間はおむすびにしいたけの煮つけなどを添える。

写真:田植えどき、「箸間」に食べる焼きむすび

 

出典:神田三亀男 他編. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.196-198

関連書籍詳細

日本の食生活全集34『聞き書 広島の食事』

神田三亀男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870668
発行日: 1987/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 382頁

"耕して天に至る"瀬戸内の島の味の基本はひしお味噌、広島湾のかきには「いろは48種」の料理。備北山地では日本海のわにが、芸北山間では石州からの魚が食卓を飾る。
田舎の本屋で購入

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