聞き書 広島の食事 備北山地の食より
小野家の主婦久子さんは畑仕事を受け持っているが、その合い間に野草や山菜とりに出かける。野ぜりを摘んでくると味噌汁の中に入れる。ままこ菜(葉にぶつぶつのある野草)はゆでて豆腐であえるか、おひたしにする。山菜では、あかざ、たきみずな、木の芽ではくさぎな、山さんしょうの芽、たらの芽、そしてつくし、わらび、ぜんまいなどを食膳にのせる。
春は子どもたちは、おやつにかやすいばの白い芯をかむ。いたどり、木の芽のかんすいばを食べ、すいこ花(すいかずら)の花びらを抜き、蜜を吸う。
■箸間――むすび、しいたけの煮つけ
昼食と夕食の間に箸間とお茶がある。これを含めると、田植えの季節は一日五度食ということになる。箸間はおむすびにしいたけの煮つけなどを添える。
写真:田植えどき、「箸間」に食べる焼きむすび
出典:神田三亀男 他編. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.196-198