たにしのてんぷら

連載日本の食生活全集

2024年06月17日

聞き書 栃木食事 渡良瀬川流域輪中の食より


夏になると、田の草取りのときに小ざるを腰にさげてゆき、たにしをとってくる。大粒のたにしがおもしろいようにとれる。
たにしは二晩ほど水に浸して泥を吐かせる。一度ゆでて、中身を針でとり出し、腹わたをとる。
あまりゆるくない衣をつくり、たにしの身を入れてよく混ぜる。大さじで身をすくい、菜種油で揚げる。油の温度は、塩を少しつまんで油なべに入れたとき、しゅーと音をたてるくらいがよい。揚げたたにしはやわらかくておいしい。大根おろし醤油で食べる。
たにしは、季節の野菜とかき揚げにしてもよい。

 

出典:君塚正義 他編. 日本の食生活全集 9巻『聞き書 栃木の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.270-271

関連書籍詳細

日本の食生活全集9『聞き書 栃木の食事』

君塚正義 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540880322
発行日: 1988/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 384頁

鮭食の伝統「しもつかれ」、伝統行事に食の歴史をとどめる栃木の食。海なし県栃木で多用される川魚、里芋。山と川と里の国栃木の習俗、行事、暮らし、食の姿を伝える。
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