ほお葉飯

連載日本の食生活全集

2020年05月12日

聞き書 福井の食事 越前海岸の食より

五月あげ(田植え終わり)のころになると、山のほおの木の葉も大きくなる。この木の葉をとってきて、田のある家ではほお葉飯をつくる。
できるだけ大きさのそろったほおの葉を準備し、水の中にしばらくつけてあくを抜く。米はふつうのごはんのように炊く。きな粉と砂糖を混ぜ合わせておく。
二枚一組にして葉の裏を外側にし、きな粉を散らし、熱いごはんを軽くにぎってその上にもきな粉を散らし、葉をたたむようにして包み、わらで軽くしばっておひつの中に重ねて重石をし、ふたをしてしばらくおく。ほおの葉とごはんを落ち着かせ、香りをきな粉飯に移す。
米をつくらない漁家でも、この時期になると山からほおの葉をとってきて、ほお葉飯をつくって食べる。

 

出典:小林一男 他. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.168-168

関連書籍詳細

日本の食生活全集18『聞き書 福井の食事』

小林一男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870187
発行日:1987/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

木の芽峠を境に嶺南と嶺北に分かれる福井県は越前と若狭の二国から成る。報恩講を開いては食を共にして絆を深めあう越前、海の幸と山の幸がともに食膳にのぼる若狭の国。
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