聞き書 福井の食事 越前海岸の食より
五月あげ(田植え終わり)のころになると、山のほおの木の葉も大きくなる。この木の葉をとってきて、田のある家ではほお葉飯をつくる。
できるだけ大きさのそろったほおの葉を準備し、水の中にしばらくつけてあくを抜く。米はふつうのごはんのように炊く。きな粉と砂糖を混ぜ合わせておく。
二枚一組にして葉の裏を外側にし、きな粉を散らし、熱いごはんを軽くにぎってその上にもきな粉を散らし、葉をたたむようにして包み、わらで軽くしばっておひつの中に重ねて重石をし、ふたをしてしばらくおく。ほおの葉とごはんを落ち着かせ、香りをきな粉飯に移す。
米をつくらない漁家でも、この時期になると山からほおの葉をとってきて、ほお葉飯をつくって食べる。
出典:小林一男 他. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.168-168