ふやき

連載日本の食生活全集

2020年05月11日

聞き書 福井の食事 福井平野の食より

夏のはじめ(六月下旬ころ)、新麦がとれると粉にひいて、ふやきやおやきをつくる。炒りなべで焼くおやきに対して、ふやきは蒸してつくる。福井では、蒸すことをふかすというところから、ふやきというようになった。お盆のお墓まいりやおもてなしには、どこの家でもこれをつくる。
小麦粉ともち米粉を六対四の割合に混ぜて、塩をほんの一つまみ入れ、水で耳たぶくらいのやわらかさにこね、一時間くらいねかせる。みょうがの葉は幅広いものを選び、水洗いして上下を切り落としておく。こねたもちを適当な大きさにちぎり、小豆あんを包み、みょうがの葉でくるみ、火が通るまで蒸す。みょうがの葉の香りと皮のぷちぷちした歯ざわりがなんともいえない。

 

出典:小林一男 他. 日本の食生活全集 18巻『聞き書 福井の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.45-45

関連書籍詳細

日本の食生活全集18『聞き書 福井の食事』

小林一男 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540870187
発行日:1987/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

木の芽峠を境に嶺南と嶺北に分かれる福井県は越前と若狭の二国から成る。報恩講を開いては食を共にして絆を深めあう越前、海の幸と山の幸がともに食膳にのぼる若狭の国。
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