押しずし

連載日本の食生活全集

2020年05月25日

聞き書 島根の食事 隠岐の島の食より

五月三日、島後五箇村郡の水若酢神社のお祭りの日のごちそうとして、どこの家でもつくり、大鉢(平皿)に盛って客をもてなす。押しずしの上につけるのは、卵焼き、酢につけた魚、のり、木の芽などである。
ただ米一升に、もち米一合から二合と塩を入れて炊く。熱いうちに砂糖、酢を入れて、しゃもじで切るように混ぜる。
白身の魚は三枚におろし、軽く塩をふって少しおき、酢の中につけて三〇分ぐらいおいたものを薄く切る。
松竹梅の木型にすし飯を丸めて入れ、上に酢じめの魚や具をのせて押す。

 

出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.290-290

関連書籍詳細

日本の食生活全集32『聞き書 島根の食事』

島田成矩 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910029
発行日:1991/07
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

旧暦十月の神無月も出雲では「神有月」。全国から集まる神々をもてなす心が食生活の中にいまも息づく。汽水湖・宍道湖・中海の豊かな魚介、米どころ出雲平野、豪雪の山間、隠岐まで郷土の食を網羅。
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