聞き書 埼玉の食事 東部低地の食より
七月七日の天王さま、七月三十一日の輪くぐりの日につくり、親せきへのごちそうやみやげにする。
小麦まんじゅうをつくり、ふかしておいた赤飯の上にまんじゅうを一並べ並べてふかす。ふけてとり出すときにまんじゅうをひっくり返して、赤飯が全体につくようにする。
せいろに、もち米とみとりを混ぜた赤飯の材料とまんじゅうを交互に重ねてふかす家もあるが、まんじゅうより赤飯のほうがふけるのに時間をとる。赤飯を先にふかしておけば、まんじゅうがふける一〇分ていどでつぎつぎに仕あげることができる。
まんじゅうについた赤飯が栗のいがのように見えることから「いがまんじゅう」という。
赤飯のみやげは上等だが、もち米は高くてどっさりみやげにはできないため、かさを多く見せるために、いがまんじゅうを入れる。
出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.228-228