いがまんじゅう

連載日本の食生活全集

2020年06月12日

聞き書 埼玉の食事 東部低地の食より

七月七日の天王さま、七月三十一日の輪くぐりの日につくり、親せきへのごちそうやみやげにする。
小麦まんじゅうをつくり、ふかしておいた赤飯の上にまんじゅうを一並べ並べてふかす。ふけてとり出すときにまんじゅうをひっくり返して、赤飯が全体につくようにする。
せいろに、もち米とみとりを混ぜた赤飯の材料とまんじゅうを交互に重ねてふかす家もあるが、まんじゅうより赤飯のほうがふけるのに時間をとる。赤飯を先にふかしておけば、まんじゅうがふける一〇分ていどでつぎつぎに仕あげることができる。
まんじゅうについた赤飯が栗のいがのように見えることから「いがまんじゅう」という。
赤飯のみやげは上等だが、もち米は高くてどっさりみやげにはできないため、かさを多く見せるために、いがまんじゅうを入れる。

 

出典:深井隆一 他. 日本の食生活全集 11巻『聞き書 埼玉の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.228-228

関連書籍詳細

日本の食生活全集11『聞き書 埼玉の食事』

深井隆一 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540910050
発行日:1992/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

「あさまんじゅうに昼うどん」は物日におけるきまりもの。小麦、さつまいも、狭山茶、深谷ねぎ、岡部の大根など自慢の作物もいっぱい。街道のうまいもの、鋳物工場の給食まで収録。
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