聞き書 宮城の食事 北上丘陵の食より
初夏、あゆがたくさんとれたときは、一ぴきずつ竹串にさし、炭をたっぷりおこしたいろりのまわりに立てて焼く。これを串のまま、わらを束ねたべんけいにさし、いろりの上につるして、からからに乾かす。
こうしてつくった焼干しは、翌年の五月ごろまで貯蔵がきき、正月の雑煮やうどん、そば、はっとなど、汁もののだしとして重宝することになる。
だしをとるときは、焼干しをむしって水から煮る。だしをとったあとの身も、汁の実として食べる。
出典:竹内利美 他編. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.200-200