朝飯に、とりたてのいなごのつくだ煮――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2024年08月26日

聞き書 山梨食事 八ケ岳山麓の食より

八月の末には秋の気配を覚え、九月早々には虫の鳴く音が高くなる。日も短くなり、稲穂に少し黄色みが出だすころには、いなごの群れで田んぼがざわめく。竹ざおの先に網の袋をしばりつけていなごをとり歩き、つくだ煮にして食卓をにぎわす。
夕――かぼちゃのおほうとう、きのこと大根の煮もの、大豆の醤油あえ、漬物
かぼちゃがとれはじめると、おほうとうには必ずというくらい野菜として入れる。山東菜などの菜っぱもねぎも入っておいしい。
雑きのこは大根と煮ものにするが、きのこがたくさんとれる秋には、町のほうの親せきにも持って行って喜ばれる。
秋とれたばかりの大豆は簡単に煮える。どんぶりに盛って醤油をかけただけで食べる。

写真:秋の夕食
上:大豆の醤油あえ、地菜の漬物、きのこと大根の煮もの/下:かぼちゃのおほうとう

 

出典:福島義明 他編. 日本の食生活全集 19巻『聞き書 山梨の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.197-198

関連書籍詳細

日本の食生活全集19『聞き書 山梨の食事』

福島義明 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540900082
発行日: 1990/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 376頁

徴兵検査で甲種合格率日本一といわれ、長寿県として有名な山梨の食の特徴は? 甲斐の山々に囲まれた海なし県ならではの雑穀、鳥獣、虫、魚の滋養豊かな食べ方、名物ほうとうの地域ごとの味わい方を紹介する。
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