聞き書 広島の食事 備北山地の食より
お祭りには、すしをつくる。客の多いときはばらずしにするが、時間の余裕があれば押しずしにする。押しずしは手間がかかるので、年に二、三度しかつくらない。
お祭りには、わにの刺身もつくる。わにはいたみにくいといわれ、山間部ではどこの家でも欠かせないごちそうとして出される。
煮しめは、しいたけ、小いも、大根、こんにゃくをそれぞれなべの中で区分けして盛りやすく煮る。こうたけを入れると香りがよくなる。煮しめの味つけに酒を使うと、砂糖、醤油の味をよくする。
あずまずしも祭りのごちそうの一つである。酢でしめたいわしにおからを詰めたすしのことである。
写真:秋祭りのごちそう
上:〔左から〕さばの刺身、わにの刺身/中:〔左から〕なばの煮つけ、あずまずし/下:押しずし、吸いもの
出典:神田三亀男 他編. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.204-205