秋祭りの押しずし、あずまずしに腕をふるう──晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2024年10月09日

聞き書 広島食事 備北山地の食より


お祭りには、すしをつくる。客の多いときはばらずしにするが、時間の余裕があれば押しずしにする。押しずしは手間がかかるので、年に二、三度しかつくらない。
お祭りには、わにの刺身もつくる。わにはいたみにくいといわれ、山間部ではどこの家でも欠かせないごちそうとして出される。
煮しめは、しいたけ、小いも、大根、こんにゃくをそれぞれなべの中で区分けして盛りやすく煮る。こうたけを入れると香りがよくなる。煮しめの味つけに酒を使うと、砂糖、醤油の味をよくする。
あずまずしも祭りのごちそうの一つである。酢でしめたいわしにおからを詰めたすしのことである。

写真:秋祭りのごちそう
上:〔左から〕さばの刺身、わにの刺身/中:〔左から〕なばの煮つけ、あずまずし/下:押しずし、吸いもの

 

出典:神田三亀男 他編. 日本の食生活全集 34巻『聞き書 広島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.204-205

関連書籍詳細

日本の食生活全集34『聞き書 広島の食事』

神田三亀男 他編
定価3,850円 (税込)
ISBN: 9784540870668
発行日: 1987/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5上製 382頁

"耕して天に至る"瀬戸内の島の味の基本はひしお味噌、広島湾のかきには「いろは48種」の料理。備北山地では日本海のわにが、芸北山間では石州からの魚が食卓を飾る。
田舎の本屋で購入

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