聞き書 新潟の食事 魚沼の食より
九月に入ると朝夕が涼しくなってくる。山の木々が色づいたかと思っているうちに、遠い山に白いものが見えるのも、そう遠くはない。
稲刈り、稲はざ掛けと忙しい最中、晩秋蚕と晩々秋蚕を飼う家も多く、家中みんなで身を粉にして働き続ける。そのうえ、冬のための蓄えにも忙しい毎日である。
夏の間食べなかったかて飯も、秋風が吹きはじめて涼しくなると、腐りにくくなるので、再び食膳にのぼる。さつまいもがとれると、さつまいもかて飯にする。大根かて飯よりはるかにおいしい。そのほか、ぞうすいやゆづけもしばしば食べる。あんぶや焼き飯(焼きおにぎり)がおもに昼食や小昼に出される。
味噌汁のほか、野菜煮もん、塩魚、だいこ漬など、夏とあまり変わらない。
写真:秋の夕食(上:大根漬、野菜煮もん/下:さつまいものかて飯、味噌汁(なす、大根))
出典:本間伸夫 他. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.197-198