涼しくなると再びかて飯に――日常の食生活

連載日本の食生活全集

2020年09月09日

聞き書 新潟の食事 魚沼の食より

九月に入ると朝夕が涼しくなってくる。山の木々が色づいたかと思っているうちに、遠い山に白いものが見えるのも、そう遠くはない。
稲刈り、稲はざ掛けと忙しい最中、晩秋蚕と晩々秋蚕を飼う家も多く、家中みんなで身を粉にして働き続ける。そのうえ、冬のための蓄えにも忙しい毎日である。
夏の間食べなかったかて飯も、秋風が吹きはじめて涼しくなると、腐りにくくなるので、再び食膳にのぼる。さつまいもがとれると、さつまいもかて飯にする。大根かて飯よりはるかにおいしい。そのほか、ぞうすいやゆづけもしばしば食べる。あんぶや焼き飯(焼きおにぎり)がおもに昼食や小昼に出される。
味噌汁のほか、野菜煮もん、塩魚、だいこ漬など、夏とあまり変わらない。

写真:秋の夕食(上:大根漬、野菜煮もん/下:さつまいものかて飯、味噌汁(なす、大根))

 

出典:本間伸夫 他. 日本の食生活全集 15巻『聞き書 新潟の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.197-198

関連書籍詳細

日本の食生活全集15『聞き書 新潟の食事』

本間伸夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850257
発行日:1985/08
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 378頁

「炊く」「蒸す」「搗く」「こねる」「焼く」。お米をさまざまに味わい分けてきた新潟県内を六つの食文化圏に分けて、それぞれの地域の豊饒を語ってもらう。

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