聞き書 島根の食事 江の川流域の食より
秋に近くの山でとれた香茸は塩漬けして保存する。生の香茸を細かくきざみ、そうけに入れ、かけいの水でよくさらし、あくを抜く。とてもあくが強い。あく抜きをしたものを少し干して、塩を香茸と同量くらいにして漬けこみ、はんどうに入れておく。これは行事のときの菜台の一品とすることが多いが、たまにはにぎり飯などの中に入れる。にぎり飯に入れると、香気のあるさっぱりした塩おにぎりになる。
また、一度ゆでて塩漬にした香茸を三か月くらい酒粕に漬けこんだものは、上等の漬物で晴れの日の酒のつまみになる。
出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.181-182