聞き書 島根の食事 城下町津和野の食より
秋にゆずが青い葉の間から黄金色の顔をのぞかせると、家々で香りのよいゆず味噌をつくる。
よく色づいたゆずの上部を切り、これをふたにする。中身は皮を破らないようにくり抜く。別に味噌、砂糖、酒をよく混ぜ、くり抜いたゆずに詰めてふたをする。七輪のてっき(金網)の上や火鉢の中で焼く。熱くなったらそのまま皿にのせ、味噌を食べる。一人前一個ずつである。
出典:島田成矩 他. 日本の食生活全集 32巻『聞き書 島根の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.258-259