かすべの煮こごり

連載日本の食生活全集

2020年10月23日

聞き書 宮城の食事 阿武隈丘陵の食より

そろそろ寒くなるころ、魚売りがかすべを持ってくるので、煮こごりをつくる。
かすべはぶつ切りにする。大根は厚めの輪切りかいちょう切りにする。大きい鉄なべを炉にかけ、かすべと大根を入れ、水をかぶるくらい加えて醤油味にし、魚の身がくずれるくらい時間をかけて、ことこととゆっくり煮あげる。一度に二、三回分くらいの量を煮る。
そのままおくと翌朝には冷えて固まっているので、しゃもじで煮こごりごとすくい、皿に盛って食べる。魚のだしが大根にしみておいしい。駒場家の大好物で、よくつくる。

 

出典:竹内利美 他. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.294-294

関連書籍詳細

日本の食生活全集4『聞き書 宮城の食事』

竹内利美 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890062
発行日:1990/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

米どころ宮城は旧伊達藩以来の米どころで、もちの多彩な食べ方を誇る。三陸海岸では四季いろいろな魚貝がとれ、浜の人たちだけでなく、内陸の人々の食膳もにぎわす。
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