聞き書 宮城の食事 阿武隈丘陵の食より
そろそろ寒くなるころ、魚売りがかすべを持ってくるので、煮こごりをつくる。
かすべはぶつ切りにする。大根は厚めの輪切りかいちょう切りにする。大きい鉄なべを炉にかけ、かすべと大根を入れ、水をかぶるくらい加えて醤油味にし、魚の身がくずれるくらい時間をかけて、ことこととゆっくり煮あげる。一度に二、三回分くらいの量を煮る。
そのままおくと翌朝には冷えて固まっているので、しゃもじで煮こごりごとすくい、皿に盛って食べる。魚のだしが大根にしみておいしい。駒場家の大好物で、よくつくる。
出典:竹内利美 他. 日本の食生活全集 4巻『聞き書 宮城の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.294-294