聞き書 秋田の食事 県南横手盆地の食より
いもだんごは、秋から冬にかけて横手、平鹿地方に広く伝わっている精進料理の一つである。
いもだんごをつくるには、いものこの軸(里芋の親いも)を除いて子いもだけを集め、皮をむき、塩を少し入れた湯でやわらかく煮、はしをさしてみて中まで煮えたころを見計らってざるに上げ、水を切る。まだ温かいうちにすり鉢に入れて、すりこぎでていねいにつぶし、つなぎとして小麦粉を片つかみ(ひとにぎり)加え、さらによく混ぜ、これをだんごに丸める。このだんごを熱湯に入れ、浮いてきたら網しゃくしですくい、ざるに上げて水気を切る。
一方、すり鉢にちょっと炒ったごまを入れ、よくすりつぶし、番茶を少しずつ注ぎ入れながらよくかき混ぜ、これをなべに移して砂糖を少し加え、とろ火にかけながら三〇分ほどかき混ぜ、とろりとしたごまだれをつくる。
いもだんごは熱いうちに器に盛り、ごまだれをかけて食べる。
出典:藤田秀司 他. 日本の食生活全集 5巻『聞き書 秋田の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.133-134