菊のおひたし

連載日本の食生活全集

2020年10月28日

聞き書 山形の食事 村山盆地の食より

菊の味わいを最も素直に感じとれるのは、なんといってもおひたしである。
まず菊の花だけを一つ一つとってきて、散らすが、この仕事はだいたい女の子やおばあさんの役割である。
なべに湯をわかし、散らした菊をさっとゆでる。ゆでる直前に酢をほんの少したらすと、黄菊はさえざえときれいな色にゆであがる。ゆですぎないことが肝心である。ゆですぎた菊は本来の味わいを失う。
おひたしのほかに、くるみあえ、酢のもの、味噌漬などにして用いる。

写真:菊料理のいろいろ
〔左から時計回りに〕菊ときゅうりの酢のもの、くるみあえ、やたら漬風にきゅうりの味噌漬と混ぜたもの、おひたし

 

出典:木村正太郎 他. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.48-48

関連書籍詳細

日本の食生活全集6『聞き書 山形の食事』

木村正太郎 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880445
発行日:1988/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

山形の「母なる川」最上川が結ぶ置賜盆地、村山の平野と山間、県北の最上、庄内平野。暮らしの柱にある米と結びついた山と海の幸のすべてを紹介。加えて、羽黒山修験道の食、酒田海船問屋の食を再現。
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