聞き書 山形の食事 村山盆地の食より
菊の味わいを最も素直に感じとれるのは、なんといってもおひたしである。
まず菊の花だけを一つ一つとってきて、散らすが、この仕事はだいたい女の子やおばあさんの役割である。
なべに湯をわかし、散らした菊をさっとゆでる。ゆでる直前に酢をほんの少したらすと、黄菊はさえざえときれいな色にゆであがる。ゆですぎないことが肝心である。ゆですぎた菊は本来の味わいを失う。
おひたしのほかに、くるみあえ、酢のもの、味噌漬などにして用いる。
写真:菊料理のいろいろ
〔左から時計回りに〕菊ときゅうりの酢のもの、くるみあえ、やたら漬風にきゅうりの味噌漬と混ぜたもの、おひたし
出典:木村正太郎 他. 日本の食生活全集 6巻『聞き書 山形の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.48-48