すぐきの面この味噌あえ

連載日本の食生活全集

2020年11月26日

聞き書 京都の食事 京都近郊の食より

十二月の十日ころになると、すぐき漬けがはじまる。すぐきのかぶを、面とりといって、包丁で表面をきれいに削る。面をきれいにした後で皮をむく。その皮を面こという。十二月にもなれば、すぐきも寒さに当たって身がよくしまり、おいしくなっている。すぐきの面とりをしていると、水気の多いおいしそうな面こがたくさんできる。それを使って味噌あえをつくる。
面こをきれいに水洗いして、すきとおる感じまでゆでる。味噌に砂糖を入れて甘味噌を用意しておく。ゆであがった面こをよく水切りし、甘味噌の中に入れてあえる。すぐき独特の味があり、自然の甘みとやわらかさがおいしい。すぐき漬けの時期にこそ味わえる料理である。
面こをお揚げと炊くこともある。大根とお揚げの煮ものと同じように、醤油味で炊くのである。

 

出典:畑明美 他. 日本の食生活全集 26巻『聞き書 京都の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.46-47

関連書籍詳細

日本の食生活全集26『聞き書 京都の食事』

畑明美 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850066
発行日:1985/06
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

「三里四方の旬の野菜」の鮮度がいのちの京野菜は、近郊農家の主婦の振売りによって毎朝町場へ届けられ、その交流を通じて京料理は磨き上げられた。雅びと素朴の京の味。
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