聞き書 千葉の食事 九十九里海岸の食より
はば雑煮は元旦から正月七日までと、十一日の蔵開き、二十日正月に食べる。
もちは焼いて入れるが、大勢のときは、ひら釜(大釜)にお湯をたっぷり煮たて、その中にもちを入れて弱い火でやわらかく煮る。
はばは、九十九里で「天津はば」の名で売りに出されている海草である。いろりのまわりに枯れた大豆幹を立て、枝にはばをはさんで並べておくと、いろりの火の温かみで平らに焼ける。また、青のりをさっとあぶって、はばと一緒にもんでおく。かつお節をけずり、はば、青のりと一緒にして重箱に入れておく。
もちをおわんに入れ、醤油味のしたじをかけ、はばと青のり、かつお節をたっぷりかける。味噌味の汁で食べる家もある。四杯も五杯もおかわりをする。
出典:高橋在久 他. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.35-36