聞き書 茨城の食事 南部水田地帯の食より
ふなのなますは「これができなければ浮島もんではない」といわれるくらい、浮島独特の料理である。
まず、五寸以上のふなを三枚におろし、小骨をとる。小骨は直角に切ってからとる。そうすると残った小骨が短くなる。この切り方が大事で、間違えると小骨が多くて食べられない場合がある。切り終えたら、こいの「あらい」のように水でさらし、酢でしめる。そして、豆腐をすり鉢ですり、酢と砂糖、塩で味つけしてふなをあえるのである。
ふなのなますはおもに冬の料理であるが、遊山講やお祭り、それから二月の初午のおびしゃには必ずつくる。
出典:桜井武雄 他. 日本の食生活全集 8巻『聞き書 茨城の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.121-122