ふなのなます

連載日本の食生活全集

2021年01月28日

聞き書 茨城の食事 南部水田地帯の食より

ふなのなますは「これができなければ浮島もんではない」といわれるくらい、浮島独特の料理である。
まず、五寸以上のふなを三枚におろし、小骨をとる。小骨は直角に切ってからとる。そうすると残った小骨が短くなる。この切り方が大事で、間違えると小骨が多くて食べられない場合がある。切り終えたら、こいの「あらい」のように水でさらし、酢でしめる。そして、豆腐をすり鉢ですり、酢と砂糖、塩で味つけしてふなをあえるのである。
ふなのなますはおもに冬の料理であるが、遊山講やお祭り、それから二月の初午のおびしゃには必ずつくる。

 

出典:桜井武雄 他. 日本の食生活全集 8巻『聞き書 茨城の食事』. 農山漁村文化協会, 1985, p.121-122

関連書籍詳細

日本の食生活全集8『聞き書 茨城の食事』

桜井武雄 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540850387
発行日:1985/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 348頁

「新豆できたから納豆寝せべ」穀類豊富な県央畑作地帯、水郷ならではの淡水魚を利用した南部水田地帯。水陸の幸を素材に食事づくりを手がけてきた主婦からの聞書きによってまとめた「常世の国」茨城の食事。
田舎の本屋で購入

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