せんぶぎまげ

連載日本の食生活全集

2021年03月02日

聞き書 福岡の食事 筑紫平野の食より

「酢味噌」の代表的な料理で、ひなの節句には必ずつくる。せんぶぎと呼んでいるわけぎをゆでて、根のほうから何回か折り曲げて結ぶ。たにしをゆでて身をとり出し、きれいに洗ったものとわけぎを一緒に皿に盛り、酢味噌をかけて食べる。
ひなの節句ごろ、急に寒い日があると「たにし寒がん」という。このころ、たにしがよくとれるからだが、たにしがない場合には、もだま(ふかの尾を輪切りにしてゆでたもの)や、おばゆけ(くじらの皮下の白い脂)をさっと湯をくぐらせてつけ合わせることもある。
わけぎの緑と白があざやかで、春らしい一品である。

 

出典:中村正夫 他. 日本の食生活全集 40巻『聞き書 福岡の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.133-134

関連書籍詳細

日本の食生活全集40『聞き書 福岡の食事』

中村正夫 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540860775
発行日:1987/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

玄界灘・有明海・周防灘の三つの海と、筑後川・遠賀川などの豊かな水にうるおう古代国家発祥の地・福岡の食は、ロマンと豊饒、篤き信仰心と伝統に育まれている。
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