聞き書 宮崎の食事 延岡の食より
春の彼岸だごに代表される、ふつを搗き混ぜただごである。
小麦粉一升にやわみ三合、ふつのゆでたもの湯飲み一杯の割合で準備する。ふつが少なければ、よめなやごぼうの葉をかてる(加える)。
まず小麦粉とやわみをこね、平たく丸めてゆでる。二、三日前にゆでておいたふつは、殺菌のため温めなおして一緒に臼に入れて搗く。このときの塩のききぐあいが味の決め手になる。
あんを入れて丸め、きな粉を敷いたもろぶたに並べていく。きな粉にふつの色が映えて、春らしいだごである。
写真:春の彼岸のこぶりだご
出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.84-84