聞き書 青森の食事 津軽半島東部の食より
■昼―いもけえ、いわしの塩焼き、うどのあぶらあえ、たくあん漬
春のおかずは、秋に貯蔵したきのこや、漬物をきだして(塩出しして)だし汁でやわらかく煮た、こじょなかせ(小僧泣かせ)などである。塩がきつく、何回も水をふたてで(とりかえて)煮なければならないから手間がかかるので、飯炊きの小僧はこれをつくるのに大変で泣いたところから、こう呼ばれている。
これに加えて、春に芽ぶいた山菜のあざみやこごみ、うどなどが、毎日のようにお膳にのるので、山菜の新鮮であくのある独特の味のよさが、よけいに感じられる季節でもある。
昼ごはんは、いもけえやいもの塩煮で、いもを腹いっぱい食べた後に麦飯を少し食べる。五月、六月は大羽いわしの漁があるので、とりたてのいわしの塩焼きを、皿に盛り上げて食べる。
写真:春の昼食
上:いわしの塩焼き、たくあん漬/下:いもけえ、うどのあぶらあえ
出典:森山泰太郎 他. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.98-100