春ぼこりやたけのこ、山菜のしゅん―日常の食生活

連載日本の食生活全集

2021年04月16日

聞き書 愛媛の食事 肱川流域(大洲)の食より

高菜は大菜、春ぼこりと呼ぶようにぶ厚い菜で、漬物や煮ものに適し、たけのこや山菜とともに端境期をつないでくれる。たけのこは大羽釜にぬかを入れてゆでておき、山の落ち水にさらしておくと、しばらくは間に合って便利である。
■昼―麦ごはん、いりこ味噌、おひたし、こうこ
いりこ味噌は、味噌にいりこ、しょうが、砂糖少々を混ぜてとろ火で煮つめ、ごまを入れて仕あげたもの。これはごっつぉうぶりで、いちだんと食が進む。春ぼこりを色よくゆでて花がつおをかけたおひたしは、あく強い味がおいしい。またこの菜の漬物は、ぴりっと辛みがきいて食が進む。

写真:春の昼食
膳内:麦ごはん、しょいのみのいりこかけ、春ぼこりのおひたし/右の皿:こうこ

 

出典:森正史 他. 日本の食生活全集 38巻『聞き書 愛媛の食事』. 農山漁村文化協会, 1988, p.81-82

関連書籍詳細

日本の食生活全集38『聞き書 愛媛の食事』

森正史 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540880452
発行日:1988/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

魚あふれる瀬戸内、宇和の海。春はいだが川面をさかだて夏はあゆが水底に踊る肱川。五穀ゆたかな山間の田畑。海、山、川、平野の四季の移ろいと暮らし、食をつぶさに描く。
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