聞き書 奈良の食事 奥宇陀の食より
■さぶらき
田植えはじめを「さぶらき」という。さぶらきは、よい日を選んで、水戸口と荒神さんにさぶらきごはんを供える。さぶらきごはんは、大豆を炒って枡の底でこすって皮をはぎ、米と一緒に塩味で炊いたもので、ふきの葉二枚で包み、わらでくくって供える。この時期になっても田に薄氷がはるような寒い日もあるが、ふきの葉の香りが春を運んでくれる。
写真:田植えはじめのさぶらきごはん
出典:藤本幸平 他. 日本の食生活全集 29巻『聞き書 奈良の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.179-180