聞き書 青森の食事 津軽半島東部の食より
夏のせぐろいわし(かたくちいわし)漁で、夜から朝にかけて女たちはいわしを煮て、きりんでしぼる作業にとりかかる。日中はいもの収穫で忙しい。二〇俵以上のいも掘りをする。畑にはおもにじゃがいも、かぼちゃ、大豆と大菜などを植えてある。肥料は、いわしのしぼり汁と魚のじゃっぱを腐らせたもの、それに下肥を使う。
夏でもヤマセが吹き、綿入れのつづれを着こんでも寒い日が多いので作が悪く、収量も少ない。それでも掘りたてのいもの塩煮は、ぽくぽくして味がよい。みず(うわばみそう)は、でんぶや漬菜、あえものにしてもよい。夏きのこも出回る。そのほか、畑からは大菜がとれ、とりたての食べものの多い毎日となる。
■昼―いもの塩煮、麦飯、みずの油炒め、大菜漬
とりたてのいもは塩で煮ると味がよく、これと麦飯で昼をすませる。若いみずの油炒め、大菜の漬物がおかずである。
写真:夏の昼食
上:みずの油炒め、きゅうり漬/下:麦飯、いもの塩煮
出典:森山泰太郎 他. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.103-104