聞き書 福島の食事 石城海岸の食より
夏は、男たちはカムチャツカでの遠洋漁業や近海漁業に精を出しているまっ最中である。カムチャツカ漁は、船が小さく危険が多いので、船方は命がけで行く。五月はじめに出航し、七月の終わりか八月はじめに帰り、おみやげに鮭を八〇本ほどもらって帰る。近海漁は、漁にもよるが、一〇日くらいで帰ってこれる。かつお漁のときはかつおを一本ずつもらってきて、刺身、煮つけ、あらと豊富に食べ、残りは焼いて醤油漬にしてあとで食べる。
男たちが漁に出ているあいだ、女たちは、大麦、小麦、あわ、もろこしの脱穀や畑の野菜の手入れ、秋野菜の播付け、盆、祭りの準備と忙しい。
■夕
麦飯。かつおの刺身やあら汁に、さっぱりした玉菜ときゅうりのもみ漬を添える。
写真:夏の夕食
上:かつおの刺身、漬物(玉菜ときゅうり)/下:麦飯、かつおのあら汁
出典:柏村サタ子 他. 日本の食生活全集 7巻『聞き書 福島の食事』. 農山漁村文化協会, 1987, p.286-287