聞き書 青森の食事 南部〈八戸〉の食より
七月七日を七日盆という。道端の雑草を切り払い、お墓の草取りをし、家のまわりをきれいに掃除して、盆の精霊を迎える準備をすませる。また、この日を七日日ともいって、子どもたちが七回水浴びし、七回食べるという日でもある。
朝におごわをたくさんふかし、きゅうりもみやかぼちゃの煮つけ、ささぎの油炒めや焼き魚などを弁当に詰めてやる。それを持って子どもたちは浜で一日中食べたり、泳いだりするのである。七日日が暖かいと、その年は世の中がよい(豊作)といわれ、泳げるような暑い七日日になることを祈る。
七日日が終わり、七月十日は寺下観音の夏の例祭である。階上岳のふもとにある寺下観音は、古くからこの地域一帯を中心に、遠くは岩手県のほうにまで信仰する人がおり、四月十七日と七月十日の例祭には一日中参詣人でにぎわう。階上村最大のお祭りである。
例祭には必ずもちを搗き、おごわをたくさんふかし、煮しめ、酢のもの、刺身、かれいの煮つけ、お吸いもの、きゅうりもみなど、たくさんごちそうをつくるのである。かれいの煮つけも、なべにこんぶを敷き、その上にかれいを並べて、ふだんはあまり使わない醤油で味をつけておいしく煮る。
写真:七日日の重詰
左の重箱:〔上から時計回りに〕にんじんのこあえ、きのこなます、ささぎの油炒め、鮭なます、かぼちゃの煮つけ、いかのぽんぽん焼き、きゅうりもみ/右の重箱:おごわ
出典:森山泰太郎 他. 日本の食生活全集 2巻『聞き書 青森の食事』. 農山漁村文化協会, 1986, p.270-271