聞き書 神奈川の食事 三浦半島の食より
■おかぐら
七月十日はむらの神明神社のお祭りで、毎年ではないが一年おきくらいに、神主がお神楽を舞う。この日は、太鼓がたたかれ、露店も出てにぎやかである。農家は麦の脱穀もこの日をめどに片づけて農作業を休み、伊勢えび漁のように休漁期に入っていない漁師も海へ出ないで休む。
家には親せきの客もやって来るので、にんじん、ごぼう、こんぶ、焼き豆腐などで煮しめをつくる。魚も、あじやかさごを尾頭つきのまま煮てつけ合わせ、こわ飯もつくって出す。これからの暑い夏を乗り切るための、ほっと一息つく休みの日である。
写真:おかぐらのごちそう
上:〔左から〕煮しめ、あじの煮魚、酒/下:こわ飯
出典:遠藤登 他. 日本の食生活全集 14巻『聞き書 神奈川の食事』. 農山漁村文化協会, 1992, p.108-109