聞き書 宮崎の食事 延岡の食より
■夏祭り
南方村の夏祭りは七月十五日。お客も多いので、ごろしも二〇〇個ばかりゆでる。羽釜にお湯をたっぷりわかし、皮を破らないように、だごすくい(竹で編んだ目の粗いしゃくし)でていねいにすくいあげる。火と湯気でからだ中汗だくになる。だごをつくるとなると、粉踏み(小麦粉や米粉づくり)からせんならん(しなければならない)し、三日がかりの仕事である。
そのほか、なんきんとさや豆(さやいんげん)、じゃがいもの煮しめ、あじの煮つけ、きゅうりといわしのなます、ばらずし(五目ずし)の会席膳を、お客ひとりひとりにつけ、お酒もつける。
写真:夏祭りのごちそう
膳内:〔上〕煮しめ(なんきん、さや豆、じゃがいも、あげみ、こんぶ)、あじの煮つけ。〔下〕ばらずし、きゅうりといわしのなます/膳外:ごろし、酒
出典:田中熊雄 他. 日本の食生活全集 45巻『聞き書 宮崎の食事』. 農山漁村文化協会, 1991, p.67-69