聞き書 千葉の食事 東京湾奥の食より
■お盆
八月十一日には、主婦が船橋まで、背負いかごを背に、盆飾り用品や食べものの買物に出る。暑いので朝早く出かけ、帰りは木陰で一息入れる。歩いて一時間以上かかる道のりであるが、年中行事の一つの楽しみでもある。
十二日にはお墓掃除をし、仏壇をきれいにして盆飾りをする。だんご、そうめんをつくり、きゅうり、なすを仏壇に供える。
お盆には、小麦まんじゅうをつくる。小麦粉を水で練って、ささげのあんを包んで丸めてせいろで蒸し、仏壇に供える。子どもたちは蒸しあがるのを待ちかねている。盆まいりに来てくれた親せきのみやげにすると喜ばれる。
写真:盆のお供えに、小麦まんじゅうをふかす
出典:高橋在久 他. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.166-167