盆には必ず小麦まんじゅう―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2021年07月30日

聞き書 千葉の食事 東京湾奥の食より

お盆
八月十一日には、主婦が船橋まで、背負いかごを背に、盆飾り用品や食べものの買物に出る。暑いので朝早く出かけ、帰りは木陰で一息入れる。歩いて一時間以上かかる道のりであるが、年中行事の一つの楽しみでもある。
十二日にはお墓掃除をし、仏壇をきれいにして盆飾りをする。だんご、そうめんをつくり、きゅうり、なすを仏壇に供える。
お盆には、小麦まんじゅうをつくる。小麦粉を水で練って、ささげのあんを包んで丸めてせいろで蒸し、仏壇に供える。子どもたちは蒸しあがるのを待ちかねている。盆まいりに来てくれた親せきのみやげにすると喜ばれる。

写真:盆のお供えに、小麦まんじゅうをふかす

 

出典:高橋在久 他. 日本の食生活全集 12巻『聞き書 千葉の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.166-167

関連書籍詳細

日本の食生活全集12『聞き書 千葉の食事』

高橋在久 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890024
発行日:1989/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 384頁

黒潮が打ち寄せる房総半島は日本でも屈指の好漁場。いわし・かつおに代表される海の幸と利根川の魚、台地の作物が食膳にのぼる。太巻ずしはこの地の伝統食。女性が築いた食の営みを記録する。
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