聞き書 群馬の食事 奥利根の食より
■夕―いも飯、野菜の煮もの、なすもみ
秋はいろいろな作物が収穫されて家に運ばれてくる。そのうちの一つ、とれたてのさつまいもを入れていも飯をつくる。さつまいもは、大きいのは二つ割り、細いのはそのままで、六、七分の厚さに切り、塩を少し入れて米や麦と一緒に釜で煮る。さつまいもの甘みと塩と麦飯とがお互いを助け合う味は、秋ならではと思う。
これに煮ものがつく。里芋、にんじん、ごぼう、こんぶ、ちくわなども入れて煮る。昼飯がきゅうりもみだけであっさりしているので、そうした日の夕食には煮ものがたくさんお膳につく。
なすもみは、薄く切ったなすを、塩であくを抜いてよくしぼり、砂糖を少しつまみ入れて、醤油などをかけたものである。
写真:秋の夕食
いも飯、なすもみ、煮もの(にんじん、ちくわ、里芋、大根、こんぶ、ごぼう)
出典:志田俊子 他. 日本の食生活全集 10巻『聞き書 群馬の食事』. 農山漁村文化協会, 1990, p.37-38