もちとごっつおで正月を祝う―晴れ食・行事食

連載日本の食生活全集

2022年01月06日

聞き書 富山の食事 氷見灘浦の食より

中正月
一月十五日は豊作を祈願する日で、田の豊作を願って小豆がゆを食べる。小豆がゆは、小豆を煮て塩味をつけ、もち米の粉とただ米(うるち米)の粉でつくっただんごを入れる。田に虫がくるといって砂糖は絶対に入れない。
小豆がゆを、庭の実のなる木の、木のまたへのせるか、手ごろなまたのないときは、なたで皮に切り目を入れてちょっと開き、そこへ小豆がゆを与えてその年の豊作を祈る。庭へ二人で行って「今年実がなるか」と一人が問い、もう一人が「なる、なる」と返事をしてから、もち一つ分ほどの小豆がゆを与える。

写真:中正月の膳
いかなます、煮もん(正月膳と同じもの)、白ごはん、たくわん、小豆がゆ

 

出典:堀田良 他編. 日本の食生活全集 16巻『聞き書 富山の食事』. 農山漁村文化協会, 1989, p.125-128

関連書籍詳細

日本の食生活全集16『聞き書 富山の食事』

堀田良 他編
定価3,038円 (税込)
ISBN:9784540890048
発行日:1989/10
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 376頁

蜃気楼があらわれ、ほたるいかが群遊する富山湾は地元の人たちの魚溜め。立山から発する水が開いた平野は富山の人たちの米びつ。生きのいい魚と米と水がつくる富山の食。
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